2010年08月13日

社会化途上

第9回 日本ケアマネジメント学会研究大会のプログラムが届いたので、
読んでいた。

大会長でもある立教大学の橋本正明教授が、あいさつ文の中で次のように述べられている。

(抜粋)
「(前略)介護や育児、そして家事といった市民の日常的な生活機能は、
都市化・核家族化など時代や生活スタイルの変化によって、
いまや多くの家庭で自主的な力だけで対応することが難しくなっています。
そこに福祉の制度により、従来家族が担ってきた生活上の機能を
社会が肩代わりをするという福祉サービスの機能と役割があります。(後略)」

よく考えてみると、従来家族が担ってきた機能が社会化されているものは、
福祉サービスに限っていない。

例えば、出来合いのおせち料理を注文したり、
お通夜や葬儀を葬儀社に委ねたり等もそうであろう。

それらを含めて社会化されたサービスとすると、
社会化されたサービスを利用する人々の中で、
「これはOKだが、これは抵抗がある」という仕分けが
一つの規範として形成されているような気がする。

「保育園に子どもを預けています。」は、抵抗なく言える(だろう)が、
保育園を児童養護施設に置き換えるとどうだろう。

「保育園、順番待ちなのです。」
の保育園を特別養護老人ホームに置き換えるとどうだろう。

「おばあちゃん、デイサービスに行ってるんですよ。」と、
「おばあちゃん、特別養護老人ホームに入っているんですよ。」
を比べると抵抗感はどうだろう。

おそらく、多くの人々はその違いに気づき、
一方には、痛みにも似た居心地の悪さを覚えるのではないだろうか。


同じ「家族から社会へ」の流れにあって、
この違いは、どこから生まれ、
それを人々はどのように意味づけし整理しているのだろうか。

この痛みにも似た居心地の悪さに対するケアも提供できなければ、
それらのサービスは、社会化を成し遂げてないない、
いわば「社会化途上のサービス」と言わざるを得ない。

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posted by となりのトヨロ at 16:39| Comment(6) | TrackBack(0) | 研究のヒント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
社会化途上、まさにその通りですよね。
例に挙げていられた葬儀屋や保育園はもう歴史をかなり積み重ねてますからね。社会的認識が進んでいます。

時が解決する部分が多いのでしょうか。

ただ、保育園も葬儀もデイサービスも
「一時」なんですよね、使っている時間が。
「ずっと」(長期、という表現より、期限が決まっていない、という方で)という時間軸が抵抗を生んでいるような気がします。

ショートステイと言えないほど
月の内の大半を施設で過ごされていても、
入所に切り替えましょうか、という話になると猛烈な抵抗を示すご家族がいます。

たとえ1日でも2日でも
生活の本拠は「自宅」であるということが、
本人を取り巻く人々の意識の中にあるのかもしれません。
Posted by しん at 2010年08月13日 17:04
笑福会でのPPTに書き込みましたが、
在宅か施設かではなく、
在宅でも施設でも、
その人らしく暮らせるように
ありたいですね。

「施設」という言葉も、
これから、どうなのでしょうか?
Posted by どりーむ at 2010年08月13日 19:52
しん さま
コメントありがとうございます。
今回の記事は、あえて「なぜか」に触れませんでした。僕の中の仮説がまとまらないからです。 おっしゃるように、利用の「時間」も要素の一つでしょう。 他にも「居どころを移す」ことへの抵抗感もあるかもしれません。 カテゴリを「研究のヒント」としたのは、もし研究するとすれば・・・の思いがあったのです。(たぶん、研究はしないでしょうが 笑)
Posted by トヨロ at 2010年08月14日 16:23
どりーむ さま
「施設」という言葉は、無くなったり変わったりするかもしれません。でも、たぶんそれ代わる名称がつけられ、「囲い込み」の道具に使われるのでしょう。
今回の記事は、利用者が「社会化」をどう腑に落としているか?という切り口で書いてみました。しんさまの方にも書きましたが、それこそ質的な研究が必要なんでしょうが・・・。
Posted by トヨロ at 2010年08月14日 16:28
社会化
自分が大学生の頃,「施設の社会化」ということがよくいわれていました。1980年頃のことです。ゼミでも,何回も議論したような記憶があります。国際障害者年の前後でもあり,施設の新しい役割を求められていたのだと思います。大雑把にいえば,特別な存在ではない存在,そんなことを議論していた様に思います。
Posted by 平岡祐二 at 2010年08月16日 15:44
平岡裕二 さま
コメントありがとうございます。
私が勤めた施設でもよく言っていました。
でも、「市民から見てどーなんやろ?」といつも思っていました。
Posted by トヨロ at 2010年08月17日 10:57
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