2010年07月05日

「地域包括ケア研究会 報告者」拾い読み(3)

気になる点の二つ目は、「地域」ということです。
報告書では、日常生活圏域をおおむね30分以内(p27)としています。
これは、あくまでも地域包括ケアを支えるサービス供給体制を考える時の「地域」です。

この「地域」は人工的に設計されたものであり、期待したいのですが、次のような疑問もあります。

陣取りゲームのように事業展開をし、利用者の囲い込みに余念が無い事業者が、この日常生活圏域とサービスの外づけをどう捉えるかということが、まず気になります。

コミュニティを分断したのは介護保険制度だ、などという声も多く聞きます。
隣同士に住んでいる方が、一人は東のデイに、もう一人は西のデイに、といった感じなのでしょうか。

つまり、日常生活圏域と、それを越えた事業展開(地域分断)を行ってきた事業者が、「地域」ということに関して折り合いをつけていくことができるのだろうか、という疑問です。

「地域」には、文化と歴史があります。
次世代をはぐくみ、文化や歴史を伝えていくという役割も「地域」にはあります。
地域分断は、こうした役割までも破壊してしまう危険性を持っています。

地域分断の仕組みをのこしたままで、日常生活圏域はどのような意味を持ってくるのでしょうか?

(つづく)
posted by となりのトヨロ at 14:09| Comment(8) | TrackBack(0) | 地域包括ケア研究会 報告書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
吉島さんの本を作った編集職人のSです。
今月末に発売予定の「月刊ケアマネジメント」8月号では、「地域包括ケア研究会」報告書の特集を企画しています。
現在、いろいろな人に取材中です。
Posted by 編集職人のS at 2010年07月05日 15:08
編集職人S 様
 その特集、楽しみですね!
 願わくば、「賛成・反対」だけではなく、実現を前提とすれば何が問題なのか! という切り口であって欲しいですなぁ (^0^)/
Posted by トヨロ at 2010年07月05日 15:18
介護保険前は、ここの地域だったら、○○デイなどある程度決まっていて、今は、利用者が自由に選択し、地域の関係なく様々なサービスを利用されています。
それはそれで、選択肢が増え好きな所を選ぶというのは、いいと思います。
日頃仕事していて思うこととして、
地域で考えたときに、色々なサービス事業者が利用者にかかわっていて、それぞれが個々、点で動いている。
色々な事業者がいるのに、なんかもったいないな・・・。それだったら、もう少し、横のつながりを強くして、独り暮らしの方、認知症、虐待のある家など、直接関らなくても、少し気にかけることによって、地域で少しでも長く生活が出来るのではと思っています。
しかし、そうは思っても、この競争社会。
取った取られたの問題になりかねないし、大規模な事業者が、それをどう受け取るか。個人情報の問題もあるし。
囲い込みの絶好のチャンスと捉える所もあるかもしれない。
地域といっても、中学校地域内でも、農家が多いのか、漁業なのか、新興住宅地なのかで随分変わると思います。
漠然に「点で動いている。バラバラだな。」と思うだけで、「なぜそう思うのか」「じゃあ、どうしたらいいのか」「何が妨げになるのか」なんて、まだまだですが、少しづつ、いろいろな話を聞いて、話もして、自分なりの考えがまとまり、人に伝える事が出来たらなと思っています。 
長文になり、すみませんm(__)m

Posted by まるちゃん at 2010年07月05日 18:47
「地域」を話題にするとき、
私の恩師から、よく突っ込まれます。

★「地域」ってなんですか?
★誰にとっての「地域」なんですか?
★「地域」を語る時の、主語は誰ですか?
★「地域」に責任を持つのは、誰ですか?
等々・・・。

大抵、答えに窮しますが、
大切な問いと受け止めています。
そして、このような報告書を読むとき、
その報告書が意味する「地域」とは?を
考えるようになりました。

恩師に感謝です。
Posted by どりーむ at 2010年07月05日 22:27
まるちゃん さま
「点で動く」、「バラバラ」・・・さらに、「交錯する」も加えると、
少なくともそこからは、
「地域」を考えてみようという機運は生まれませんよね。
Posted by トヨロ at 2010年07月06日 11:34
どりーむ さま
★は、いい問いですね。

「地域」は、範囲という地理的な広がりだけで語ることはできません。

そこにある生活が、「歴史」という時間軸に堆積し、絡みつき、「文化」を作ります。

この「生活」が昇華した「文化」の主人公は、時間軸に登場して、何かを伝え、消えていく住民であろうかと思います。

今回の報告書に、それらを守って欲しいとは期待しませんが、破壊することだけはしないで欲しいと願っているのです。
Posted by トヨロ at 2010年07月06日 11:45
「複合型事業所」「日常生活圏域でのサービス提供を一定期間一任しては」などという、
囲い込みを奨励するかのような文言も出てきます。

ケアマネジメントの利用者者負担の導入についても。

どうなるのでしょうか。どうお考えですか。
Posted by 高野龍昭 at 2010年07月06日 21:07
高野龍昭 さま

「囲い込み」に対抗するには、(制度的には)サービスの質の評価(p52)方法を確立するしかないのでしょうか? でも、これって縦断研究ですよね。結果が出るまでに10年くらい必要なのでしょうか。
間に合うのかなぁって思います。
Posted by トヨロ at 2010年07月07日 11:13
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